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涙川の源

古今集 巻第十一 恋歌一 読人しらず
511

涙川なに水上をたづねけむ
  物思ふ時のわが身なりけり


涙川の源はどこだらうと 何を探し歩いたのでせうか
物思ひに悲しんでいる時の私こそ その源でした


自分が泣いていれば涙川の源を探し歩く筈はありません
とすれば この歌はユーモア歌 戯れ歌といふことになる
それにしても大量の涙です

512  読人しらず

種しあれば岩にも松は生ひにけり
  恋をし恋ひば逢はざらめやも


種がこぼれたから松は岩にさへ生へたのです
だから辛抱強く恋していれば
あの人に逢へないなんてことはないのだ


種しあれば = 種といふものがあったからこそ
恋をし恋ひば = 強調  逢はざらめやも = 「も」は感動
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知るらめや


古今集 巻第十一 恋歌一 読人しらず
504

わが恋を人知るらめや敷妙の
  枕のみこそ知らば知るらめ


私のこの思ひをあの人が知って下さるなんてあり得ません
私のこぼす涙で濡れている枕だけが知ってくれるでせう



人知るらめや = あの人は知ってくれるだらうか
  否 知ってはくれないでせう
敷妙の = 「枕」の枕詞


505  読人しらず

浅茅生の小野の篠原しのぶとも
  人しるらめや言ふ人なしに


私がこんなに激しく恋ひ慕っていやうとは あの方は
知って下さるのかしら
何せ誰も伝へる人がいないのだから

知る知らぬ

古今集 巻第十一 恋歌一
 右近の馬場のひをりの日 向ひに立てたりける車の
 下簾より女の顔のほのかに見えければよむで遣はしける
 在原業平朝臣
476

見ずもあらず見もせぬ人の恋しくは
  あやなく今日やながめ暮さむ


返し  読人しらず
477

知る知らぬ何かあやなく分きて言はむ
  思ひのみこそしるべなりけれ


右近衛府の馬場で騎射の真手結があった日 馬場の向う
側に止めてあった車の下簾の隙間から見物に来ていた
一人の女性の顔が ちらりと見へたので詠んで贈った歌


私はあなたのお顔を密かに見ないとも言へず見たとも言へ
ないのですが にも拘らず何だか悲しくなり ぼぉっとして
今日一日を物思ひに耽って暮すのではないでせうか


私をご覧になったとか ならないとか 何故そんな無用な
詮議だてをなさいますの?
大切なことは 人は思ひ(真心)によって初めて導かれると
いふことでございますが あなたにはそれがおありでせうか


思ひのみこそ = おもひ→火→燈火→道しるべ

言ひ寄られて

古今集 恋歌 題知らず 読人知らず

伊勢の海に釣りする海人のうけなれや
  心ひとつを定めかねつる


私の心は 伊勢の海に釣りをする漁師が
釣り糸につける浮でせうか
あちらこちらに揺れて この心を定めかねています


うけ = 釣り糸につける「浮」
なれや = であるからだらうか
心ひとつ = 自分ひとりの心


伊勢の浜辺の乙女が 何人かの男に言ひ寄られ
心を決めることが出来ないで悩んでいる歌です

中には悩んだ挙句 自らの命を絶つ女もいました
葛飾は市川の 真間の手児奈 もさうだったとか

あちらを選べば こちらはどんなに力を落されるでせう
こちらを選べば そちらはどんなに力を落されるでせう
そちらを選べば あちらはどんなに力を落されるでせう
私さへこの世にいなければ どなたも傷付かずに・・・

このやうにして美人薄命の用語が生まれたのです(私見)

天つ空なる人

古今集 恋歌 題知らず 読人知らず

夕ぐれは雲のはたてにものぞ思ふ
  天つ空なる人を恋ふとて


夕暮は格別に雲の果てに向かって物思ひをします
遠い空の彼方にいるも同然のあの人を恋しく思って


天つ空なる人 = 手が届かないほど身分の高い人
そのやうに解釈するのが順当とは思ひますが
現代でも「高嶺の花」と言ふが如く 必ずしも「身分」の
違ひと限定しなくてもいいでせうね
劣等感が強く 自分に自信のない人であれば 男であれ
女であれ 恋する相手は高嶺の花であり天つ空なる人です

素直に「身分」の違ふ人と解釈して詠んでも
それはそれで決して不自然ではありません
そのやうなことを詮索せずに片恋の悲しみに浸りませう


「雲のはたて」を「雲の旗手」と解釈する学者もいます
・・・旗のやうな夕焼け雲がたなびいている・・・
荻原朔太郎といふ詩人ですが この人といひ 斎藤茂吉と
いひ 詩人さんには頑固な人が多いですねぇ

秋立つ日の歌

古今集 よみ人しらず の歌二首

わが背子が衣の裾を吹きかへし
  うらめずらしき秋の初風

昨日こそ早苗とりしがいつのまに
  稲葉そよぎて秋風の吹く


この二首などは変に現代語に訳せずに
このまま観賞するに越したことはない


私が大事に手入れしている野菜畑の通路を挟んで隣は
田んぼです  その田んぼのおじいさんとは日頃から
仲良く話していますが 上の二首目を詠んで フトその
おじいさんことが頭を過ぎりました

その田んぼの稲穂もだいぶ頭を垂れつつあります
昨日 菜っ葉の種を蒔きました 今から水遣りです

秋の歌

このブログは「古歌」をテーマにスタートしたのですが
京都検定なるものに ちょっと魅せられて首を突っ込み
ましたら「講習会 楽しいんやったら 試験も受けたら?」
などと言はれて半分その気になり 「古歌あれこれ」が
ずるずると 「京あれこれ」に集中してしまひました

正直申しまして少し疲れました
先日 問題集をやって自己採点してみましたら 60点
世の中は秋 今日は久しぶりに古歌に浸りませう

古今集 藤原敏行 秋たつ日よめる


秋来ぬと目にはさやかに見えねども
  風の音にぞおどろかれぬる


立秋の日 秋の訪れを風によって知った喜びの歌です
説明無用の歌のひとつですね


新古今集にも この歌を本歌とした 藤原秀能の歌があります
吹く風の色こそ見えね高砂の
  尾の上の松に秋は来にけり

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ちゃむ

  • Author:ちゃむ
  • 1940.01 生まれ 男性
    この写真は但馬皇女の歌
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      未だ渡らぬ朝川渡る

    をイメージしたものです

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