スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

伊勢物語

伊勢物語については既に全段の記載を完了していますが、その時だけの思ひつきで書きましたので順序だっておりません。
来年から (内容の多くは重複しますが) 初段から順序だてて記載し、内容についても推敲してみたいと思っています
スポンサーサイト

玉簾

伊勢物語 (六十四段)

 むかし 男 みそかに語らふわざもせざりければ
 いづくなりけむ あやしさによめる


吹風にわが身をなさば玉すだれ
  ひま求めつつ入るべきものを


 返し


とりとめぬ風にはありとも玉すだれ
  たが許さばかひま求むべき


昔 男 相手の女がひそかに逢って語り合ふこともしなかっ
たので どこに女がいるのか分からず不審に思ひ詠んだ


吹く風に私の身を変へたなら あなたの姿を隠している
玉簾の隙間を探して お側へ入っていけるのに
それが出来ないのが残念です


掴まへることの出来ない風であっても いったい誰の
許しで簾の隙間を求めて入ってこられるといふのですか
そんなことはいけません


玉簾り「玉」は美称  宮中の簾であらう
だとすれば女は二条后 男は業平といふことになる

こけるから

伊勢物語 (六十二段)

 むかし 年ごろおとづれざりける女 心かしこくや
 あらざりけむ はかなき人の事につきて
 人の国なりける人につかはれて もと見し人の前に
 いで来て 物食はせなどしけり
 夜さり 「このありつる人たまへ」とあるじにいひければ
 おこせたりけり 男 「我をば知らずや」とて


いにしへのにほひはいづら桜花
  こけるからともなりにけるかな


 といふを いと恥づかしと思ひて いらへもせでゐたるを
 「などいらへもせぬ」といへば「涙のこぼるるに
 目も見えず ものもいはれず」といふ


これやこの我にあふみをのがれつつ
  年月経れどまさり顔なき


 といひて衣脱ぎてとらせけれど 捨てて逃げにけり
 いづち去ぬらむとも知らず

染河

伊勢物語 (六十一段)

 むかし 男 筑紫まで行きたりけるに 「これは色好むと
 いふすきもの」と 簾のうちなる人のいひけるを聞きて


染河を渡らむ人のいかでかは
  色になるてふことのなからむ


女 返し


名にしおはばあだにぞあるべきたはれ島
  浪のぬれぎぬ着るといふなり


昔 男が筑紫まで行った時に 「これは色好みだと評判の
風流人だ」 と簾の中にいた女が言ったのを聞いて


 筑紫へ来れば染河を渡ることになりませうが この川を
 渡る人は だうして色に染まるといふことなしに
 おられませうか


女が返した歌

 負ひ持つ名のとほりならば 浮気である筈のたはれ島は
 打ち寄せる浪に濡れて 濡れ衣を着ているのだと
 人が申しておりますよ
 それと同じやうに 染河に無実の罪を着せやうとなさっ
 ても さうはいきませんよ

東山

伊勢物語 (五十九段)

 むかし 男 京をいかが思ひけむ 東山に住まむと
 思ひ入りて


住みわびぬ今はかぎりと山里に
  身をかくすべき宿求めてむ


 かくてものいたく病みて死に入りたりければ
 おもてに水そそきなどして いきいでて


わが上に露ぞ置くなる天の河
  とわたる舟の櫂のしづくか


 となむいひて いき出でたりける


昔 男が京の生活をだう思ったのであらうか
東山に住まふと思ひこんで


私は都には住みづらくなった もうこれまでと覚悟して
身を隠すべき住居を山里に求めやう


かうして山里暮らしをしている内にひどい病気になり
息も絶え絶えにになってしまったので 人々が顔に水を
そそいだりして 男は漸く息を吹き返して


私の顔の上に露が置くやうです 天の川の川門を渡る
舟の櫂の雫でせうか


と言って息を吹き返したのでした
とわたる = 門渡る
「わが上に」は生き返った男のばつの悪さと照れ隠しの歌

田を刈る女たち(2)

伊勢物語 (五十八段) 続き

昔 洗練された心の持主で色めかしい行ひを好む男が
長岡といふ所に家を作るって住んでいた
(昨日はここまで)
そこの隣に住んでいる宮ばらに使はれている 難点のない
女たちが 稲を刈らうとして  と この男のいるのを見て
男の家を「さすがに見事な造作だ」と集まって男の家の庭
へ入り込んできたので 男は逃げて建物の奥に隠れて
しまったので 女は


住んでおられた人が何もおっしゃらないのを見ると
この家は空き家になって荒れ果ててしまったのですねぇ
あぁ何代続いたお邸だったのでせうか

  男が逃げて相手にならないので悪態をついている
  荒れにけり = あれ逃げり の掛詞はひどい悪態


と言って男の邸に集ってきて たむろしていたので 男は


おっしゃる通り 葎が生へて荒れた家の情けなさは
仮初にも鬼が集ったりするからでせうねぇ

  かりにも = 刈る の掛詞
  すだく = がやがや集る
  女たちの無作法を「鬼のすだく」と言った


と歌を詠んで女たちに差し出した するとこの女たちが
わざと 「一緒に落穂を拾ひませう」 と言ったので男は


思ひに沈みながら落穂を拾っている とおっしゃるの
でしたら私も田へ出て行きたひところですが・・・
あなた方のやうな騒々しい人たちは御免かうむります

田を刈る女たち

伊勢物語 (五十八段)
 むかし 心つきて色好みなる男 長岡といふ所に
 家つくりてをりけり そこの隣なりける宮ばらに
 こともなき女どもの田舎なりければ田刈らむとて
 この男のあるを見て 「いみじのすき者のしわざや」
 とて集りて入り来ければ この男 逃げて奥にかくれに
 ければ 女


荒れにけりあはれいく世の宿なれや
  住みけむ人の訪れもせぬ


 といひて この宮に集り来ゐてありければ この男


むぐら生ひて荒れたる宿のうれたきは
  かりにも鬼のすだくなりけり


 とてなむ いだしたりける この女ども「穂ひろはむ」
 といひければ


うちわびて落穂ひろふと聞かませば
  我も田面にゆかましものを


昔 洗練された心の持主で色めかしい行ひを好む男が
長岡といふ所に家を作るって住んでいた
 (続く)

長岡は業平の母の住んだゆかりの土地
平安遷都の前は都だったので宮ばらの邸があっても不思議
ではない  宮ばら は 宮腹に掛けているのかも知れない
宮腹は宮様からの生まれ 業平の母は桓武天皇の皇女です

恋ひわびぬ

伊勢物語 (五十七段)
 むかし 男 人知れぬもの思ひけり つれなき人のもとに


恋ひわびぬあまの刈る藻に宿るてふ
  われから身をもくだきつるかな


ある女に秘めた恋をしたが女はつれなかった
そこで歌を詠んで贈った


私は恋ひ悩んでいます
海人が刈る海藻に宿っている われから のやうに
自ら求めて我が身を砕いて苦しんでいます


われから(割殻) = 海藻に住む虫 乾くにつれて殻が割れる
  「我から」への掛詞

伊勢物語には 二十三段 筒井筒 のやうに 一つの話が
長い長い話と幾首もの歌からなる段があるかと思ふと
この段のやうに一行と一首だけといった とても短い段も
あり この辺が私にとっては 伊勢物語を読み易いものに
しています

side menu

当ブログの参考資料

歌の復籍 上巻・下巻
著者 梅原猛
集英社
歌の復籍


水底の歌 上巻・下巻
著者 梅原猛
新潮社
水底の歌
文庫本が出ています↓
水底の歌(上)
水底の歌(下)


万葉集(一) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(一)


万葉集(二) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(二)


万葉集(三) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(三)


万葉集(四) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(四)


万葉集(別巻)全訳注原文付
万葉集事典 講談社文庫
著者: 中西進
万葉集(別巻)


文法全解 伊勢物語
著者 雨海博洋
旺文社
伊勢物語


古今和歌集要解
著者 稲村徳
有精堂
古今和歌集要解


新古今和歌集要解
著者 稲村徳
有精堂
新古今和歌集要解


もっとも分り易き 萬葉集の解釋
著者 柴田隆
日本出版社
定價金70錢?
もっとも分り易き 萬葉集の解釋


萬葉集選抄
著者 次田潤
明治書院
定價金壱圓拾錢
萬葉集選抄


大和物語・宇津保物語 他
著者 藤井貞和 大岡信
新潮社
大和物語


源氏物語(一)
石田穣二 清水好子 校注
新潮日本古典集成
新潮社版
(下の写真は背表紙)
古今和歌集要解

最近のコメント

関連リンク

side menu

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

当ブログの参考資料

京都ルルブ
2001年3月版
JTB
京都ルルブ


くわしい解説 小倉百人一首
著者 小町谷照彦
文英堂
小町谷照彦の小倉百人一首


田辺聖子の小倉百人一首
著者 田辺聖子
角川文庫
田辺聖子の小倉百人一首
ここで購入できます↓
田辺聖子の小倉百人一首


絢爛たる暗号
著者 織田正吉
集英社
絢爛たる暗号
文庫本が出ています↓
絢爛たる暗号


小倉百人一首全釈
著者 井上雄一郎
武蔵野書院
井上雄一郎の小倉百人一首


百人一首故事物語
著者 池田弥三郎
河出書房新社
百人一首故事物語
文庫本が出ています↓
百人一首故事物語


上田秋成集
著者 稲村徳
有精堂
上田秋成集


『万葉集』の世界
著者 阿蘇瑞枝・梅原猛・中西進
筑摩書房
『万葉集』の世界


万葉を考える
著者 梅原猛ほか
新潮社
万葉を考える


大和物語・伊勢物語 他
日本古典文学全集
著者 片桐洋一・福井貞助
・高橋正治・清水好子
小学館
(下の写真は背表紙)
日本古典文学全集

プロフィール

ちゃむ

  • Author:ちゃむ
  • 1940.01 生まれ 男性
    この写真は但馬皇女の歌
    人言を繁み言痛み己が世に
      未だ渡らぬ朝川渡る

    をイメージしたものです

ブログ内検索

Powered By FC2 blog

FC2Ad


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。