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都鳥

伊勢物語 (九段 東下り その三)
男の一行は東路も果てに近い武蔵と下総との国境の
隅田河まで来てしまった  大河を越せば更に増す
都との遠隔感に思ひ沈んでいると無常な渡し守に
せきたてられて舟に乗る  初冬の夕暮の河面に
浮かぶ鳥の名を都鳥と聞き男はさっそく都の愛人への
思慕の情を詠む  舟中一同感極まって泣いた


名にし負はばいざこと問はむ宮こ鳥
  わが思ふ人はありやなしやと


名にし負はば = 名前のとほりであるなら

いつの頃かは忘れましたが 業平の歌として
初めて知ったのがこの歌です

この歌は 2005/09/14 三条右大臣 にも掲載してあります
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かきつばた

伊勢物語 (九段 その一)
都で志を得なかった男が同士と東国へ理想の天地を
求めて下る途中 三河の国の八橋の沢に
折しも咲き誇る かきつばた を題にして
旅愁を詠み込んで旅の一行を感動させた


から衣きつつなれにし妻しあれば
  はるばるきぬる旅をしぞ思ふ


から衣 = 唐衣・「から」は美称・着るの枕詞
なれにし = 着馴れた(衣)・親しく馴れた(妻)
つましあれば = 褄と妻の掛詞
はるばる = 遥かと張るの掛詞


折句といえば「かきつばた」はその代表作

  か  唐衣
  き  着つつなれにし
  つ  妻しあれば
  ば  はるばる来ぬる
  た  旅をしぞ思ふ

この歌は 2005/09/05 在原業平朝臣 にも掲載してあります

人麻呂歌集(10)

万葉集 巻第十一
11-2393 玉桙 道不行為有者 惻隠 此有戀 不相

玉桙の道行かずあらばねもころに
  斯かる恋には逢はざらましを


もしあの道を行かなかったならば
あの人に逢ふこともなく
こんな恋にはおちいらなかっただらうに


ねもころ = こんなに悲しく苦しい恋の意

「ねもころ」がこの歌の中心です
あの恋を後悔しているのでせうか
いえ 諦めの中にも決して悔はなかったに違ひありません

人麻呂歌集(9)

万葉集 巻第十一
11-2473 菅根惻隠君結為我紐緒解人不有

菅の根のねもころ君が結びてし
  わが紐の緒を解く人はあらじ


巻第十二
12-2857 菅根之惻隠々々照日乾哉吾袖於妹不相為

菅の根のねもころごろに照る日にも
  乾めや我が袖妹に逢はずして


11-2473 菅の根のやうに深い愛情でもって
あなたが結んでくれたこの紐を解く人は決していません
あなた以外には誰にも解かせません


ねもころ = 心細かに・行届いた心で・深い愛の心
細い思ひ遣りのある心


「惻隠」 惻隠の情・惻隠の心 といふ言葉がありますが
万葉集では賀茂真淵が初めて「ねもころ」と詠みました
それまでは「しのびに」「しのびて」と
詠まれていたやうです
ねもころ  美しい響きですねぇ

人麻呂歌集(8)

万葉集 巻第十一
11-2447 白玉従手纒不忘念何畢

白玉を手に纒きしより忘れじと
  思ほゆらくに何か終らむ


白玉を自分の手に巻き付けて枕としてからは
あなたのことを忘れまいとしているが・・
いやいやこの恋は決して終ることなどないのだ


白玉 = 美しい白石や貝・真珠
手に纒き = 恋人を腕に纒く を掛けている


2005/10/18 青春の歌でご紹介しました
人麿 青春時代の恋歌 春楊葛山發雲立座妹念
と同様にこの歌もたった十文字で表記されています

文字数が少ないせいか訓読も学者によって異なります
白玉 従手纒 不忘 念 何畢

訓読の仕方によって歌意も異ってきます
人麻呂は本当は何と詠んだのでせうね

人麻呂歌集(7)

万葉集 巻第十四
14-3481 安利伎奴乃佐恵々々之豆美伊敝能伊母尓
       毛乃伊波受伎尓弖於毛比具流之母

あり衣のさゑさゑしづみ家の妹に
  物言はず来にて思ひ苦しも


万葉集 巻第四 柿本朝臣人麻呂の歌
4-0503 珠衣乃狭藍左謂沈家妹尓物不語来而思金津裳

珠衣のさゐさゐしづみ家の妹に
  物言はず来て思ひかねつも


さゑさゑ(さゐさゐ)しづみ = 美しい衣がさやさやと
しな垂れるやうに心も沈んで



巻第十四 14-3481 の歌には
  柿本朝臣人麿の歌集の中に出づ
  上に見ゆること已にをはりぬ
とあるので この歌も人麻呂歌集の歌でせう

人麻呂歌集(6)

万葉集 巻第十一 柿本朝臣人麿の歌集
11-2415 處女等乎袖振山水垣乃久時由念來吾等者

少女らを袖振る山の瑞垣の
久しき時ゆ思ひけり我は


万葉集 巻第四 柿本朝臣人麻呂の歌
4-0501 未通女等之袖振山乃水垣之久時従憶寸吾者

未通女らが袖振る山の瑞垣の
  久しき時ゆ思ひき我は


處女・未通女 = おとめ・神おとめ・聖少女・巫女
振る = 布留 袖振るは招神行為
瑞垣 = 水垣・神社宮殿の垣根・「みず」は美称
石上神宮(参考) = 奈良県 天理市 布留町 布留山


両句とも上の句は序詞
巻第四 4-0501 は人麻呂歌集の歌ではなく人麻呂の歌

人麻呂歌集の歌は果たして人麻呂の歌か否か
万葉学界では最大の議論点のやうです
私は人麻呂歌集の歌を人麻呂の歌として
当ブログを書いています

伊勢物語(六段)

長年思ひ続けてきた高貴な女をやっと連れ出して
途中 倉の中に隠しておいたところ
雷雨の最中に鬼に喰はれてしまひました
実は女の兄たちが女の泣声を聞きつけて
男から取り戻したのでした


白玉かなにぞと人の問ひし時
  露と答へて消えなましものを


あの光るものは何ですか 白玉ですか 何なのかしら
と女が尋ねたとき私は あれは露の光です と答へて
あの儚い露のやうに消へてしまへばよかった
さうすればこんなに悲しい思ひをしないで済んだのに


私はこの段の最初の文が何故かお気に入り
ご紹介しておきますね

 むかし をとこありけり
 女のえ得まじかりけるを
 年を経てよばひわたりけるを
 からうじて盗み出でて
 いと暗きに来けり

続きを読む▽

伊勢物語(五段)

ある男が東の五条あたりの女のもとに ひそかに築地の
崩れから通っていましたが 番人を置かれてしまった
逢ひ難き心中を歌に詠むと女は大変心を痛めたので
主人は二人の仲を許しました


ひと知れぬ我が通ひ路の関守は
  宵々ごとにうちも寝ななむ


人に知られないやうに こっそりと通って行く道の番人は
二人の間を邪魔しないで毎夜毎夜ぐっすり寝込んで
しまって欲しい
さうすれば愛しい恋人に逢へるから


主人といふのは東五条邸の主人・五条の皇后
女とは勿論 二条后高子のことです
古今集 恋歌  この歌の詞書は

  東の五条わたりに人を知りおきてまかり通ひけり
  忍びなる所なりければ門よりしもえ入らで
  垣のくづれより通ひけるを たびかさなりければ
  あるじ聞きつけて かの道に夜ごとに人をふせて
  守らすれば 行きけれどえ逢はでのみかへりて
  よみてやりける     業平朝臣

伊勢物語(四段)

ある男が皇太后宮の西の対に住んでいた女に思ひをかけて
通っていましたが 女を或る高貴な所に隠されてしまった
男は去年と同じ梅の花の咲く頃 去年のことが恋しくて
たまらず西の対を訪れ過ぎし昔を追憶して嘆きの歌を
詠みました


月やあらぬ春や昔の春ならぬ
  わが身ひとつはもとの身にして


月は昔と同じ月ではないのであらうか
春は昔と同じ春ではないのであらうか
恋しい人の姿の見へない今はまるで去年の眺めと
感じが変ってしまった
ここにある我が身だけが元のままであるのに


西の対に住んでいた女が誰であるか名前は明示されて
おりませんが二条后高子であることが暗示されています
古今集 恋歌  この歌の長い詞書は

  五条の后宮の宮の西に住みける人に 本意にはあらで
  物言ひわたりけるを睦月の十日余りになん
  ほかへ隠れにけり
  あり所は聞きけれど え物も言はで又の年の春
  梅の花ざかりに月のおもしろかりける夜 去年を恋ひて
  かの西の対に往きて月のかたぶくまで
  あばらなる板敷に臥せりてよめる   在原業平朝臣

伊勢物語(二段)

  むかしをとこありけり ならの京は離れこの京は人の家
  まださだまらざりける時に西の京に女ありけり
  その女 世人にはまされりけり
  その人かたちよりは心なんまさりたりける
  ひとりのみもあらざりけらし それをかのまめ男
  うち物語らひて帰り来ていかが思ひけん
  時は三月のついたち雨そほふるに遣りける

起きもせず寝もせで夜をあかしては
  春の物とてながめ暮らしつ


昨夜はあなたと逢って一晩中 起きることもなく
寝もしないで夜を明かし 今 昼は昼で春のものとして
降るこの長雨を見ながら物思ひに耽っています


この段も短いので全文を載せました
古今集 在原業平のこの歌の詞書には次のやうにあります

  三月のついたちより忍びにものを言ひて後
  雨のそぼ降りけるによみてつかはしける

伊勢物語(初段)

  昔男初冠して平城の京春日の里に
  しるよしして狩にいにけり

から始まる「伊勢物語」初段  続いて

  その里にいとなまめいたる女はらから住みけり
  この男かいまみてけり
  思ほえずふる里にいとはしたなくてありければ
  心地まどひにけり
  男の着たりける狩衣の裾を切りて歌を書きてやる
  その男 信夫摺の狩衣をなむ着たりける

春日野の若紫のすり衣
  しのぶのみだれかぎり知られず


春日野に生える若紫草の根ですった若紫の狩衣の
模様が乱れているやうに 美しいあなた方を思ひ慕ふ
私の心は乱れて限り知れません


初冠(うひかうぶり) = 男子の成人式で初めて成人の
服を着 冠をつける・元服

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人麻呂歌集(5)

11-2381
君が目を見まく欲りしてこの二夜
  千年の如く吾は恋ふるかも


あなたに逢ひたひと思って昨日の夜も今日の夜も
一夜千年のやうに私は恋をしています


11-2382
うち日さす宮道を人は満ち行けど
  吾が思ふ君はただ一人のみ


日が照り輝き宮への道を人は溢れて通るけれど
私が恋するのは あなた ただ一人だけ


素晴らしいラブソング
♪♪♪をつけたら現代の恋歌にもなるでせうね
原文の文字・用字の恋歌も味はって下さい


  公目見欲是二夜 千歳如吾戀哉

  打日刺宮道人雖滿行 吾念公正一人

人麻呂歌集(4)

11-2581
言にいへば耳にたやすし少くも
  心のうちにわが思はなくに


言葉で言ってみると大したことではないやうに
聞こへるだらう
心の中では少々のこととは思っていないのだけど


恋の歌と受取れないこともないのですが
然し原文を見ると


  言云者三々二田八酢四小九毛心中二我念羽奈九二


数字が九つも使用されています  三三二八四九二九二
だとすると歌の意にも このことが含まれているのでせうか

1-0040 柿本朝臣人麿作歌
嗚呼児の浦に船乗りすらむ乙女らが
  珠裳の裾に潮満つらむか

嗚呼見乃浦尓船乗為良武◇嬬等之
  珠裳乃須十二四寳三都良武香


原文中の◇の文字は「女偏」に「感」
十二四三 即ち 12=4×3

人麻呂歌集(3)

11-2408
眉根掻き鼻ひ紐解け待つらむか
  いつかも見むと思へるわれを

11-2409
君に恋ひうらぶれ居れば悔しくも
  わが下紐を結ふ手たゆしも

11-2808
眉根掻き鼻ひ紐解け待てりやも
  いつかも見むと恋ひ来しわれを


11-2408 眉を掻き くしゃみをし紐を解いて
待っているだらうか
早く逢ひたひと思っている私を


11-2409 あなたに恋して心がしほれていると
残念なことに私の下紐を結ぶ手がものうひことだ


眉根掻き = 恋の前兆

11-2808 の左註には次のやうにある
  右は上に柿本朝臣人麿の歌の中に見ゆ
  ただ問答なるを以ちての故に累ねて茲に載せたり

人麻呂歌集(2)

11-2405
垣ほなす人は言へども高麗錦
  紐解き開けし君ならなくに

11-2406
高麗錦紐解き開けて夕だに
  知らざる命恋ひつつやあらむ


11-2405 家の周りを垣でとりかこむやうに
人々は周囲でうわさするけれど
高麗錦の紐を解き開けて寝た君でもないのに


11-2406 高麗錦の紐をほどいて今日の夕方まで
生きておられるかだうかさへ 分からないこの命で
恋ひ続けているのだらうか


垣穂なす = 周囲をとりかこむ垣のように  夕 = 夕べ

このやり取りはだうみても女が誘ってますねぇ
とはいへ 何れも若き人麻呂の歌ですけど

人麻呂歌集

11-2356 万葉集
高麗錦紐の片方ぞ床に落ちにける
  明日の夜し来なむと言はば取り置きて待たむ


結んだ筈の高麗錦の紐の片方が床に落ちていたの
憎らしいけど明日の夜 来るといふのなら
取っておいて待っているわ


高麗(こま)錦 = 高麗様式の錦織
落ちにける = 結んで愛を誓った紐がとけて落ちていた


これは人麻呂歌集に出ている旋頭歌の一首
高麗錦の紐を用いた歌はこの後にも出てきます
「紐解く」の表現は色っぽいですね

人麻呂歌集の歌については
2005/10/18 青春の歌 2005/10/24 恋ひ死なば
11-2453 春楊 11-2370 恋ひ死なば 11-2401 恋ひ死なば
の三首をご紹介していますが 歌集には素敵な歌が多いので
これからも「人麻呂歌集」のタイトルでご紹介して
いきたひと思っています

風吹けば

伊勢物語 筒井筒
風吹けば沖つ白浪たつた山
  夜半にや君がひとりこゆらむ


1-0043 當麻麿大夫の妻 (万葉集より 以下同)
我が背子はいづく行くらむ沖つ藻の
  隠の山を今日か越ゆらむ


1-0083 長田王
海の底沖つ白波立田山
  いつか越えなむ妹があたり見む


4-0511 當麻麿大夫の妻
我が背子はいづく行くらむ沖つ藻の
  隠の山を今日か越ゆらむ


11-2435 柿本朝臣人麿の歌集
淡海の海沖つ白波知らねども
  妹がりといはば七日越え来ぬ


15-3673 読人不知
風吹けば沖つ白波かしこみと
  残の亭にあまた夜そ寝る

続きを読む▽

100番 順徳院

ももしきや古き軒端のしのぶにも
  なほあまりある昔なりけり


宮中の荒れ果てた古い建物の軒に忍ぶ草が生えている
皇威の衰へはこの上なく如何に偲んでも
偲びつくせない程 隆盛であった昔が慕はしく
思はれるのです


ももしき = 百敷・百の石城(いしき)が元の意味
  大宮に掛かる枕詞 之を独立させて「大宮」
  「宮中」の意味に用いるやうになった
  ここでは後者の意


99番 後鳥羽院の第三皇子
父 後鳥羽院に協力して承久の乱を起こしたが
失敗して佐渡に配流された

藤原定家がこの親子の歌を百人一首の最後に載せて
百人一首を締めくくったのは何故
謎がいっぱいの百人一首 これでオシマイ

一枚札の「む」「す」「め」「ふ」「さ」「ほ」「せ」
憶えましたか?  これだけでも憶えますと
百人一首が楽しくなること請合いですよ

99番 後鳥羽院

人もをし人も恨めしあぢきなく
  世を思ふゆゑに物思ふ身は


世の中が昔と変って事毎に思ふにまかせないので
世の中を味気なく思ふにつけて
いろいろと物思ひに絶えない身には
とかく人を惜しくも思ひ
また恨めしくも思ったりする


をし = 「愛し」いとおしい「惜し」惜しむ の両方の意
あぢきなく = 味気なく・にがにがしい・面白くないの意
世を思ふ = この世をつまらなく思ふ


承久の乱を起こすも之に失敗し隠岐島に配流された
藤原定家ともいろいろな葛藤があったやうですが
それも私達にとっては「紅旗征戎非吾事」
といったところでせうか

異母兄妹

8-1513
今朝の朝明雁が音聞きつ春日山
  黄葉にけらし我が情痛し

8-1514
秋萩は咲くべくあるらし我が屋戸の
  浅茅が花の散りぬる見れば

8-1515
言しげき里に住まずは今朝鳴きし
  雁に副ひて去なましものを

16-3816
家にありし櫃にかぎ刺し蔵めてし
  恋の奴のつかみかかりて


8-1515 但馬皇女
人の噂のうるさい里に住んでいないで
今朝 声を聞いた雁とともに 此処を去ってしまひたい

16-3816 穗積親王
家にあった櫃に鍵をかけて しまっておいた恋の奴めが
つかみかかってきよって


2005/12/05 他 同母姉弟では姉が弟を心配し
そして弟の死を悲しむ歌をご紹介しましたが
ここでは異母兄妹の激しい恋の歌をご紹介しました
一部は既に 2005/08/16 に但馬皇女に載せています

続きを読む▽

98番 従二位家隆

風そよぐならの小川の夕暮は
  みそぎぞ夏のしるしなりける


楢の木の葉に風が吹き渡りっている奈良の小川の夕暮時は
涼しくて秋の訪れを思はせるやうであるが
この川で行はれている禊の行事だけが
まだ夏であることの証拠なのだなぁ


なら = 奈良・楢の掛詞

藤原家隆
新勅撰集に寛喜元年女御入内の屏風として出ているので
この詞書によって屏風歌であることが分かります
また 本歌は次の二首とされています


八代女王
みそぎするならの小川の河風に
  祈りぞわたる下に絶えじと


源頼綱
夏山の楢の葉そよぐ夕ぐれは
  今年も秋の心地こそすれ

97番 権中納言定家

こぬ人をまつほの浦の夕なぎに
  焼くやもしほの身もこがれつつ


待っても来ないあなたを 今来るかくるかと待っている私は
松帆の浦の夕凪時に海士が焼いている藻塩のやうに
あなたを慕って身も恋焦がれています


「待つ」と「松」は掛詞  「藻塩」と「こがれ」は縁語

藤原定家 小倉百人一首の撰者  83番 藤原俊成の子
この歌は定家の歌ですから待てど来ぬ女性を男性の立場で
詠ったものだとばかり思っていました
ところがこれは万葉集からの本歌取りであり
女性(海少女)の立場での歌であることが分かりました
然し本歌そのものは男性の立場で詠っています


笠朝臣金村
6-0935 
名寸隅の船瀬ゆ見ゆる淡路島
  松帆の浦に朝凪に 玉藻刈りつつ夕凪に
  藻塩焼きつつ海少女 ありとは聞けど見に行かむ
  縁のなければ大夫の 情は無しに手弱女の
  思ひたわみて徘徊り われはそ恋ふる船梶を無み

96番 入道前太政大臣

花さそふ嵐の庭の雪ならで
  ふりゆくものはわが身なりけり


嵐が花を誘って吹き散らしている庭は
まるで雪が振るに見へるけれど
降るものはあの花の雪ではなく
年々 年振る私の身であるなぁ


花さそふ嵐 = 桜の花を誘って吹き散らす嵐
雪ならで = 雪ではなくて
ふりゆくもの = 「雪が降る」と「年振る」を掛けている


藤原公経
この歌を詠んで ふと9番 小野小町の歌を連想するのは
私だけでせうか


小野小町
花の色はうつりにけりないたづらに
  わが身世にふるながめせしまに

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ちゃむ

  • Author:ちゃむ
  • 1940.01 生まれ 男性
    この写真は但馬皇女の歌
    人言を繁み言痛み己が世に
      未だ渡らぬ朝川渡る

    をイメージしたものです

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