スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

伊勢物語(二十九段)

伊勢物語(二十九段)
  むかし東宮の女御の御方の花の賀に
  召しあづけられたりけるに

花に飽かぬ 歎きはいつも せしかども
  今日の今宵に 似る時はなし


昔 東宮の女御のもとで催された花の賀に召し加へられた
ときに男が詠んだ歌


いくら見ても見飽きることがないといふ桜の花への嘆きは
毎年してきたけれど 今日の今宵は今までにも似ず
とりわけ悲しい思ひがします


東宮の女御の御方 = 東宮(皇太子)を生んだ母の女御
  即ち「二条の后 高子」である
  二条の后高子は清和天皇の女御で
  陽成天皇となった皇太子 貞明親王の母である
花の賀 = 桜の季節の賀  賀は四十の賀 五十の賀など
  十年きざみの年齢の祝賀
召しあづけられ = 賀の催しに召されて祝宴のための
  仕事の一部を委任されること
花に飽かぬ歎き = いつまでも散らずに咲いていて欲しい

この歌は一見 賀歌に見へますが 過去の恋の思ひを后に
対して詠んでいることは当の后は勿論のこと
他の人たちにも分かったと思ひます
スポンサーサイト

伊勢物語(二十八段)

伊勢物語(二十八段)
  むかし色好みなりける女 いでて去にければ

などてかく あふごかたみに なりにけむ
  水もらさじと結びしものを


昔 色好みであった女が他の男にひかれて男の家を出て
行ってしまったので その男は


だうしてこのやうに逢ふことが難しくなってしまったのか
水も漏らさない仲でいやうと誓い合ったのに


色好み = 風流好み(男好きの意とは異なる)
あふごかたみ = 逢ふ期難み・逢ふ時が得難い
あふご = 朸(あふご 天秤棒)と「逢ふ期」に掛けている
かたみ = 筐(かたみ 竹で編んだ籠)と「難み」に掛けている
などてかく = だうしてこのやうに
結びし = 契る・籠は編む(結ぶ)の意に掛けている

筐(籠)は 朸(天秤棒)でかつぐ
竹で編んだ籠に水を汲んでも漏れるばかりですね

伊勢物語(二十七段)

伊勢物語(二十七段)
  むかし男 女のもとにひと夜いきて またも行かずなりに
  ければ 女の 手洗ふ所に貫簀をうちやりて
  たらひのかげに見えけるを みづから

わればかり もの思ふ人は またもあらじと
  思へば水の下にもありけり


  とよむを来ざりける男 たち聞きて

水口に 我や見ゆらむ 蛙さへ
  水の下にて 諸声に鳴く


昔 男が女のところに一晩行って二度とは行かなくなって
しまったので 女は手を洗ふ所で 丁度 盥(たらひ)の上に
かけてある貫簀(ぬきす)を払ひ除けると その盥の水に
自分の顔が映って見えたので 自ら次の歌を詠んだ


私ほど悲しい思ひの人は ほかにはいないと思って
おりましたら この水の下にもいましたわ


さう詠むのを通って来るのを止めた男が たまたま
通りかかって これを聞いて


水口に私の姿が現れたのでせうか
田の水口の蛙さへ水底で声をあはせて鳴いています
私もあなたと声をあはせて悲しみに泣いています


貫簀 = ぬきす 簀(すのこ)
みづから = 男に贈る歌ではなくて 独り言のやうに詠った
水口 = 田に水を注ぎ入れる所  盥の水をそれとみている
蛙 = かはづ  諸声 = もろ声 (男女が)声を合せて

女の詠む歌を たまたま通りかかって耳にしたこの男は
「水の下にもありけり」を自分のことだと勘違ひしたのです

side menu

当ブログの参考資料

歌の復籍 上巻・下巻
著者 梅原猛
集英社
歌の復籍


水底の歌 上巻・下巻
著者 梅原猛
新潮社
水底の歌
文庫本が出ています↓
水底の歌(上)
水底の歌(下)


万葉集(一) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(一)


万葉集(二) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(二)


万葉集(三) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(三)


万葉集(四) 全訳注原文付
講談社文庫 著者: 中西進
万葉集(四)


万葉集(別巻)全訳注原文付
万葉集事典 講談社文庫
著者: 中西進
万葉集(別巻)


文法全解 伊勢物語
著者 雨海博洋
旺文社
伊勢物語


古今和歌集要解
著者 稲村徳
有精堂
古今和歌集要解


新古今和歌集要解
著者 稲村徳
有精堂
新古今和歌集要解


もっとも分り易き 萬葉集の解釋
著者 柴田隆
日本出版社
定價金70錢?
もっとも分り易き 萬葉集の解釋


萬葉集選抄
著者 次田潤
明治書院
定價金壱圓拾錢
萬葉集選抄


大和物語・宇津保物語 他
著者 藤井貞和 大岡信
新潮社
大和物語


源氏物語(一)
石田穣二 清水好子 校注
新潮日本古典集成
新潮社版
(下の写真は背表紙)
古今和歌集要解

最近のコメント

関連リンク

side menu

カレンダー

03 | 2010/04 | 05
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

当ブログの参考資料

京都ルルブ
2001年3月版
JTB
京都ルルブ


くわしい解説 小倉百人一首
著者 小町谷照彦
文英堂
小町谷照彦の小倉百人一首


田辺聖子の小倉百人一首
著者 田辺聖子
角川文庫
田辺聖子の小倉百人一首
ここで購入できます↓
田辺聖子の小倉百人一首


絢爛たる暗号
著者 織田正吉
集英社
絢爛たる暗号
文庫本が出ています↓
絢爛たる暗号


小倉百人一首全釈
著者 井上雄一郎
武蔵野書院
井上雄一郎の小倉百人一首


百人一首故事物語
著者 池田弥三郎
河出書房新社
百人一首故事物語
文庫本が出ています↓
百人一首故事物語


上田秋成集
著者 稲村徳
有精堂
上田秋成集


『万葉集』の世界
著者 阿蘇瑞枝・梅原猛・中西進
筑摩書房
『万葉集』の世界


万葉を考える
著者 梅原猛ほか
新潮社
万葉を考える


大和物語・伊勢物語 他
日本古典文学全集
著者 片桐洋一・福井貞助
・高橋正治・清水好子
小学館
(下の写真は背表紙)
日本古典文学全集

プロフィール

ちゃむ

  • Author:ちゃむ
  • 1940.01 生まれ 男性
    この写真は但馬皇女の歌
    人言を繁み言痛み己が世に
      未だ渡らぬ朝川渡る

    をイメージしたものです

ブログ内検索

Powered By FC2 blog

FC2Ad


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。