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伊勢物語(三十二段)

伊勢物語(三十二段)
  むかし ものいひける女に年ごろありて

いにしへのしづのをだまき繰りかへし
  昔を今になすよしもがな


  といへりけれど何とも思はずやありけむ

昔 かつて関係を結んだ女に何年も経って 男が

をだまきの糸を繰るやうに もう一度 あなたと愛し合った
昔を今に引き戻す手立てがあったらなぁ


と詠んでやったが女は何とも思はなかったのか
何も言って来なかった

倭文 = しづ・古代の織物 枕詞「いにしへの」
苧環 = をだまき・糸を巻いたもの 糸を繰るところから
  「繰りかへし」を引き出す

古今集 巻第十七 雑歌上 題知らず 読人知らず

いにしへの倭文のをだまき賤しきも
  よきも盛りはありしものなり


静御前の詠ひ替へ
しずやしずしずのおだまきくりかへし
  昔を今になすよしもがな
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43番 権中納言敦忠

43番 権中納言敦忠
逢ひ見ての後の心にくらぶれば
  昔はものを思はざりけり


あなたにお逢ひして一夜を過ごした後の気持を考へると
お逢ひする前の気持なんか
まるで物想ひしてなかったかのようです
今はもう悶え苦しむほどあなたが愛しくて


逢ひ見ての後 = お逢ひして情を交はした後
昔 = 情を交はした日よりも前
ものを思ふ = 恋する切ない心の状態


藤原敦忠は左大臣時平の子。 三十六歌仙の一人。
38番 右近の項でも触れましたが「大和物語」には
右近の敦忠に対する歌が「忘らるる」より先に載っています


  過ぎにし言の葉
忘れじと頼めし人はありと聞く
いひし言の葉いづちいにけむ


「いつまでも心変りしない」と頼みに思はせて下さった方は
ご無事でおられると伺ひ聞いております
あの日の誓いのお言葉はどうなったのでせうか


大和物語には「忘れじと」と「忘らるる」の間に
右近から敦忠への歌がまだ二首あります


  栗駒山
栗駒の山に朝たつ雉りも
  かりにはあはじと思ひしものを


  わが守る床
思ふ人雨と降りくるものならば
  わがもる床はかへさざらまし


敦忠といふ人も相当罪な人だったのですね

2005.11.29 追記
先日テレビを見ていましたら偶然「小倉百人一首」に
関する番組が流れていました

その中で定家色紙なるものが放映されその色紙は
43番 権中納言敦忠の歌で朗詠を聞いていますと
「昔はものも思はざりけり」 でした 私は
「昔はものを思はざりけり」 と憶えていましたので
放映されている色紙をよく見ますと確かに「ものも」
と読めるではありませんか

念のためにと小倉百人一首全釈 著者 井上雄一郎
武蔵野書院(当ブログ表紙右列に掲載)を調べてみますと
なんとこれまた偶然 放映されていた色紙が掲載されて
いるではありませんか
私には「も」に見えるのですが「を」と読むのでせうか
2010.05.13 追記
拾遺集では「昔は物も」となっていたんですねぇ


この項 誤って削除してしまひました
バックアップから再掲しました

伊勢物語(三十一段)

伊勢物語(三十一段)
  むかし宮の内にてある御達の局の前を渡りけるに
  何のあたにか思ひけむ
  「よしや草葉よ ならむさが見む」といふ 男

つみもなき人をうけへば忘れ草
  おのがうへにぞ生ふといふなる


  といふを ねたむ女もありけり

むかし宮中で男が ある女房の局の前を通った時
(女房が)何を恨み思ったのであらうか
「まあよい この草葉が これからだうなってゆく性質(さが)
を持っているか それを見てみやう」 といふ
そこで男は詠んだ


罪も無い人を呪ふと忘れ草が自分の上に生えて
人に忘れられるとか申しますよ


と詠んだのを聞いて憎らしく思ふ(別の)女もいた

御達 = 宮使へする女房
局 = 障屏具などでしきってる部屋
あた = (恋の)恨み
うけへば = 「うけふ」は呪ふ
忘れ草 = 男に忘れられるの意

ここで面白いのは 男の詠んだ歌を聞いて これを憎らしく
思った女は 男が歌を返した相手ではなくて別の女だった
といふことです

伊勢物語(三十段)

伊勢物語(三十段)
  むかし男 はつかなりける女のもとに

逢ふことは玉の緒ばかりおもほえて
  つらき心の長く見ゆらむ


昔 男が思ふやうに逢へなかった女のところへ
詠んでやった歌


あなたに逢ふことは玉の緒ほどのほんの僅かの間のやうに
思はれて あなたのつれない心が長く感じられます


はつか = 僅か
はつかなりける女 = ほんの少し関係のあった女

男はもっとしばしば逢ひたいと思ふが
何かの障りがあってなかなか思ふやうに
逢へなかったのでせうね

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