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天雲のよそ

伊勢物語 (十九段)

昔 帝にお仕へしている女人のもとに勤めていた女房と
語らひを交はしていた男が 間もなくその女と別れて
しまった 同じ宮廷内なので男の姿が女の目に入るものの
男は女のことなど眼中にはない
女が贈る恨み歌に男は あなたのせいだとの歌を返す

  むかし男 宮仕へしける女の方に御達なりける人を
  あひ知りたりける ほどもなく離れにけり
  同じ所なれば女の目には見ゆるものから男はある
  ものかとも思たらず 女


天雲のよそにも人のなりゆくか
  さすがに目には見ゆるものから


  とよめりければ男 返し


天雲のよそにのみして経ることは
  わがゐる山の風はやみなり


  とよめりけるは また男ある人となむいひける


あなたは雲のやうに遥かに遠ざかって私に疎くなって
ゆくのですね 私の目にはやはりまだお姿が見へますのに


私が雲のやうに遠ざかって過ごしてばかりいるのは
雲が落ち着く山の風が早いやうに あなたが私を
寄せ付けないからですよ
と詠んだ訳は 他にも男がある女だからだ と人々が
噂したからです


古今集 巻第十五 恋歌五 には次のやうにある

  業平朝臣 紀有常が女に住みけるを恨むることありて
  しばしの間 昼は来て夕さりは帰りのみしければ
  よみてつかはしける


天雲のよそにも人のなりゆくか
  さすがに目には見ゆるものから

  返し    業平朝臣
ゆきかへり空にのみして経ることは
  わがゐる山の風はやみなり


紀有常の娘は業平の妻ですが この頃の業平は何かしら
妻に不満をもっていたのでせうね

COMMENT

面白いですね(^^)

面白いですね.返歌のほう,伊勢物語が「天雲のよそにのみして」で,古今集のほうは「ゆきかへり空にのみして」と,異なっているんですね.う-ん,これってどうしてこういう事がおこったのでしょう.後で推敲して直したということもあるのでしょうか.色々考えてみたいのですが,肝心の言葉の感覚がわかりません…….もう少し古文がんばっておけばよかったと思う今日この頃です.

古今和歌集

出典によって歌が違ふ例は沢山ありますが
「何故か」は私には分かりません
小町と遍昭の逸話でもそぉなんです
http://kassandra.blog18.fc2.com/blog-entry-7.html

ひょっとしたら古典にお詳しいアゲハさんならご存知かも
このブログのカテゴリーには「古今和歌集」と
「新古今和歌集」がないのですが他の歌集との比較が
面白いので「古今和歌集」や「新古今和歌集」からも
あちこちで引用しています

同じ日本語でも現代と古語がことなるやうに
ギリシャ語でも現代のギリシャ語とホメロスの時代の
ギリシャ語では随分違ふのでせうねぇ

不思議ですねえ

どちらも歌としてはちゃんとなっているように見えるので,どういう事情が有ったんでしょうねえ.ラテン語のほうでもそうですが,結構書き間違いや,書き換えは割合よくあって,写本などでは全然違うものが伝わっていたりするので,文献の調査は重要なのですが,同じ事情は日本の古典でもあるのですね.

ホメーロスのギリシア語は,すでに,紀元前古い層のギリシア語に,次々と新しいギリシア語が重なった,ハイブリッド言語なのです.ソークラテースなどのギリシア語とも,もう大分違うんですよ.現代ギリシア語はさらに異なるようですが,僕はそちらのほうはまだよく知らないのですよ.

弱き者よ 汝の名は女なり Frailty thy name is woman
ってセリフも古語ですよね
この翻訳の「汝」は「なんじ」
聖書の翻訳などでも「汝等」は「なんじら」

でも万葉集では  汝(な)が恋ふる  汝(な)が鳴けば
近年の歌の文句でも「汝(な)が友」「汝(な)が姿」

だうして外国の表現の読み方が「なんじ」で
日本人としてと例では「な」なのか 不思議です

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