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21番 素性法師

今来むといひしばかりに長月の
  有明の月を待ちいでつるかな


「すぐに行くよ」なんて言って寄こしはったから
うち 一晩中 待ってましたんえ
夜明けの月が恨めしおす


有明の月 = 明け方の空に残っている月

この歌は男性が女性の立場で詠った歌です。
当時は通ひ婚でしたから「君を待つ」のは総て女性。

待つ人来ぬ人は近代とて同じ
「君待てども」(平野愛子) そして「宵待草」(竹久夢二)
宵待草は、夢二が待つ・長谷川カタが待つ の両説ありますが
やはり「待てど来ぬ」は女性の情景でなければ
絵になりませんよね
平成の世ではそれが逆転したとか

素性法師は12番 遍昭の子。 三十六歌仙の一人。
百人一首には有明の月を詠んだ歌が他に三首。
有明の つれなく見えし・・・ (30)
・・有明の月と見るまでに・・(31)
・・・・ただ有明の月ぞ残れる(81)

ところが「来」と「待つ」を組合せた歌は
百人一首には他に一首しかありません。
この小倉百人一首の撰者である藤原定家の
「来ぬ人をまつほの浦の・・」(97) だけなんです。

「有明の月」を詠み込んだ相聞歌は既に万葉集に出ています。

10-2300
長月の有明の月夜ありつつも
  君が来まさばわれ恋ひめやも

11-2671
こよひの有明の月夜ありつつも
  君をおきては待つ人もなし


2300は「君・・来」 2671は「君・・待」
定家はこのことを知っていたのでせうか
私は知っていたと思ひます

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