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43番 権中納言敦忠

43番 権中納言敦忠
逢ひ見ての後の心にくらぶれば
  昔はものを思はざりけり


あなたにお逢ひして一夜を過ごした後の気持を考へると
お逢ひする前の気持なんか
まるで物想ひしてなかったかのようです
今はもう悶え苦しむほどあなたが愛しくて


逢ひ見ての後 = お逢ひして情を交はした後
昔 = 情を交はした日よりも前
ものを思ふ = 恋する切ない心の状態


藤原敦忠は左大臣時平の子。 三十六歌仙の一人。
38番 右近の項でも触れましたが「大和物語」には
右近の敦忠に対する歌が「忘らるる」より先に載っています


  過ぎにし言の葉
忘れじと頼めし人はありと聞く
いひし言の葉いづちいにけむ


「いつまでも心変りしない」と頼みに思はせて下さった方は
ご無事でおられると伺ひ聞いております
あの日の誓いのお言葉はどうなったのでせうか


大和物語には「忘れじと」と「忘らるる」の間に
右近から敦忠への歌がまだ二首あります


  栗駒山
栗駒の山に朝たつ雉りも
  かりにはあはじと思ひしものを


  わが守る床
思ふ人雨と降りくるものならば
  わがもる床はかへさざらまし


敦忠といふ人も相当罪な人だったのですね

2005.11.29 追記
先日テレビを見ていましたら偶然「小倉百人一首」に
関する番組が流れていました

その中で定家色紙なるものが放映されその色紙は
43番 権中納言敦忠の歌で朗詠を聞いていますと
「昔はものも思はざりけり」 でした 私は
「昔はものを思はざりけり」 と憶えていましたので
放映されている色紙をよく見ますと確かに「ものも」
と読めるではありませんか

念のためにと小倉百人一首全釈 著者 井上雄一郎
武蔵野書院(当ブログ表紙右列に掲載)を調べてみますと
なんとこれまた偶然 放映されていた色紙が掲載されて
いるではありませんか
私には「も」に見えるのですが「を」と読むのでせうか
2010.05.13 追記
拾遺集では「昔は物も」となっていたんですねぇ


この項 誤って削除してしまひました
バックアップから再掲しました

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